【2024年】エコキュートとは?その仕組みとメリット・デメリット解説
光熱費が高騰する中、ガス給湯器よりも省エネ性能が高い電気給湯器「エコキュート」(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)が注目されています。
しかしガス給湯器が一般的な日本では、「エコキュートってなに?」と疑問に思う方も少なくありません。
そこで今回はエコキュートの仕組みやエコキュートを導入することのメリット、さらにエコキュートのデメリットについて詳しく解説します。
この記事を監修したエコキュートの専門家
キンキュートー
日向 準(ひむかいじゅん)
給水装置工事主任技術者(第 267069 号)
第二種電気工事士(東京都 第 209331 号)
株式会社RSXの「キンキュートー」で、エコキュートの修理・交換工事を担当。ブログでエコキュートに関する様々な疑問とその解決方法を、国家資格を持ったプロとして詳しく解説。
エコキュートとは、省エネ性能の高い家庭用電気給湯機
エコキュートとは、冷蔵庫やエアコンに用いられるヒートポンプ技術を利用した、家庭用電気給湯機のことです。
その最大の特徴は、省エネ性能の高さです。
エコキュートは少ない電力でお湯を沸かすことができます。そのため一般的なガス給湯器と比べ、月々の光熱費を大幅にカットすることが可能なのです。
実際、日本のエネルギー政策を所管する「経済産業省 自然エネルギー庁」では、エコキュートを国の省エネ推進事業の対象製品に指定。一部地方自治体でもエコキュートの導入に補助金を交付するなど、日本の官公庁が省エネ性能の高いエコキュート導入を推奨・支援しています。
エコキュートは、2001年に株式会社コロナが世界で初めて製造・販売を開始しましたが、2024年現在では、先行したコロナ以外にも、日立・パナソニック・三菱・ダイキンといった大手メーカーが次々とエコキュートを展開。
パナソニックは2023年にエコキュートの自社生産能力を1.5倍にすると発表するなど、各メーカーが省エネ性能の高いエコキュートの開発に注力しており、2024年以降はさらなる市場拡大が見込まれています。
エコキュートの仕組み
空気熱を利用してお湯を沸かすエコキュートは、「ヒートポンプ」の仕組みを利用しています。
- ヒートポンプで空気熱を取り込む
- 取り込んだ空気熱をヒートポンプ内部で圧縮し、温度を上げる
- 水熱交換器で熱を水に移し、貯湯タンク内の水を沸かす
- 湧いたお湯を給湯する
空気などの気体は、圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質を持っています。ヒートポンプはその特性を利用して、物や空気の冷却・加熱を行うのです。
ヒートポンプ自体は、冷蔵庫やエアコンで一般的に利用されています。そのヒートポンプの技術を給湯器に活用したのが、エコキュートです。
エコキュートのヒートポンプは、自然界に存在する二酸化炭素(CO2)を冷媒(※)として利用し、熱エネルギーを生み出しています。
そのためエコキュートは「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」「自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機」という正式名称で表記されることもあります。
※冷媒とは、冷却や加熱の際に、気体中の「熱」を運ぶ物質のこと。自然界にもともと存在している物質を使う場合は「自然冷媒」と呼ぶ。
少ない電力で夜間にお湯を沸かすエコキュート
エコキュートのヒートポンプが空気を圧縮して熱エネルギーを発生させるには、二酸化炭素以外に「電力」が必要になります。この時、エコキュートは使用した電力量の3倍~6倍の熱エネルギーを生み出すことができます。
つまり、エコキュートは、とても少ない電力でお湯を沸かすことができるのです。
しかもエコキュートは、電力使用量が多い昼間の時間帯ではなく、電力使用量の少ない夜間に運転します。そのため契約している電力プランが夜間割引タイプの場合、よりお得にお湯を沸かすことができるのです。
さらにガス給湯器とは異なり、エコキュートは化石燃料を必要としません。そのためCO2排出量も抑えることもできます。
エコキュートはガス給湯機と比べ、経済性だけでなく環境性でも優れているのです。
エコキュートの種類
エコキュートのタイプ | 標準機能 |
---|---|
フルオート | 給湯・お湯はり・追い炊き・保温・足し湯・配管洗浄 |
セミオート(オート) |
給湯・お湯はり・足し湯(機種による) |
給湯専用 | 給湯・お湯はり |
エコキュートはお風呂の自動湯はり・自動追い炊き機能があるものとないものがあり、その機能の有無によって「フルオート」「セミオート(オート)」「給湯専用」の3タイプに分かれます。
その中で主流のエコキュートが、「フルオート」タイプのエコキュートです。
フルオートとは、給湯だけでなくお風呂の湯張りや保温、追い炊き、足し湯、お風呂の配管洗浄など、お風呂に関する機能をすべて自動(フルオート)で行えるエコキュートです。
対して、「セミオート(オート)」タイプのエコキュートは、給湯・お風呂の自動湯はりなどはできますが、追い焚き機能・お湯の自動保温機能・配管の自動洗浄機能がありません。お風呂関連の機能で、フルオートに比べ自動でできるものが少ないため「セミオート(オート)」と呼ばれます。
※セミオートタイプのエコキュートは、メーカーによって「オート」「エコオート」などと表記されることがあります。
また給湯専用はお風呂の自動湯はり機能などはなく、あくまでも給湯のみの機能に特化したエコキュートとなります。
現在、各メーカーが最も力を入れているのが「フルオート」のエコキュートで、商品数も一番多くなっています。
太陽光発電を利用する「おひさまエコキュート」
エコキュートの中には、「おひさまエコキュート」と呼ばれるタイプもあります。
「おひさまエコキュート」とは、太陽光発電の余剰電力を活⽤したエコキュートです。そのため「おひさまエコキュート」を利用するには、まずご家庭に太陽光発電システムを導入する必要があります。
通常のエコキュートは電気料金の安い夜間の電気を利用してお湯を沸かします。対して「おひさまエコキュート」は太陽光で発電した電気を利用して、昼間にお湯を沸かします。
一般家庭への太陽光発電がまだ普及しているとは言えない状況のため、「おひさまエコキュート」自体も商品数が多くなく、フルオートタイプのみとなっています。
ただ、すでに太陽光発電を導入されている方が「おひさまエコキュート」を利用されれば、さらなる光熱費削減が期待できます。
エコキュートのメリット
エコキュートのメリットとしては、大きく以下4点が挙げられます。
- 月々の光熱費を大幅に抑えられる
- エコキュート購入時に国から補助金が出る
- CO2排出量が少なく環境にやさしい
- 災害時などにタンク内の水・お湯が使える
エコキュートは月々の光熱費を大幅カットできる
エコキュート最大のメリット言えるのが、「ガス給湯器より、月々の光熱費を大幅に抑えられる」という点です。
エコキュートの性能や、契約している電力プランにもよりますが、高性能なエコキュートの場合、一般的なガス給湯器を利用するよりも、月々の光熱費を大幅にカットすることができます。
実際、エコキュートの各メーカーサイトでは、ガス給湯器から自社製エコキュートに切り替えた際の光熱費シミュレーションサービスを用意しています。
- 給湯光熱費かんたんシミュレーション - 日立
- 給湯光熱費かんたんシミュレーション - 三菱
- 低ランニングコスト - パナソニック
参考までに、「東京電力」で「スマートライフL」プランで契約している方が、2023年に発売されたパナソニックのエコキュート「HE-JPU37LQS」に買い替えると、ガス給湯器よりも光熱費を約1/2に減らすことができます。
対象機器 | 月々の料金 |
---|---|
エコキュート | 約37,200円 |
ガス給湯器 | 約73,200円 |
これはあくまでも目安であり、実際の光熱費は契約エリアや契約プランで異なります。しかし、基本的に「エコキュートのほうが、ガス給湯器よりも月々の光熱費が抑えられる」という点は、間違いありません。
「月々の光熱費を抑えたい」とお考えの方にとって、エコキュートはガス給湯器よりも大きなメリットがあるのです。
エコキュートは国の「省エネ推進事業」の対象商品
省エネ性能の高いエコキュートは、国も導入を推進しています。
そして国は一般家庭にエコキュートを普及させるため、2024年にエコキュートを購入した際に、国から8万円~13万円の補助金を交付する「省エネ給湯2024事業」を実施しています。
これによりエコキュートを購入すると、国から補助金を貰えます。つまり、2024年にエコキュートを購入すると、販売価格から最大で13万円の実質値引きが受けられるのです。
エコキュートは家電量販店や専門業者から購入できますが、その価格は設置工事費込みで、数十万円の導入費用が掛かります。
しかし補助金対象のエコキュートであれば、基本額8万円、最大で13万円の補助金が交付されますので、エコキュートの導入コストを大幅に下げることができます。
CO2排出量が少なく環境にやさしい
国がエコキュートに補助金を交付する理由の一つとして、エコキュートのCO2排出量が、ガス給湯器に比べて少ない、という点もあります。
ガス給湯器でお湯を沸かすには、まず燃料となるLNG(液化天然ガス)が必要となります。それに加えて電力も使うので、CO2排出量が高くなります。
たいしてエコキュートは、燃料として空気熱を利用するので、LNGによるCO2排出が有りません。さらにエコキュートは少ない電力でお湯を沸かすことができるため、「使用する電力量も少ない=CO2排出量が少ない」という大きな利点があります。
エコキュートは、月々の光熱費が大幅に抑えられるという経済性のメリットだけでなく、環境負荷が低いという環境性のメリットも高いのです。
災害時などにタンク内の水・お湯が使える
エコキュートは、作ったお湯を「貯湯タンク」に貯めます。
そのため災害時に断水したり停電した場合でも、タンク内のお湯を生活用水として利用できます。
最近のエコキュートには、タンクに「非常用取水栓」が標準装備されています。そのため万が一の時でも貯湯タンクからお湯が取り出しやすくなっており、トイレや洗い物などの生活用水に活用できるのです。
※飲料水として利用することは推奨されていません。貯湯タンクのお湯を飲料水として利用する場合は、お湯を取り出してから、必ず一度煮沸してください。
エコキュートのデメリット
エコキュートのデメリットとしては、以下点が挙げられます。
- 導入費用が高い
- ガス給湯と比べ水圧が弱い
- 沸かしたお湯は基本的に飲料水にできない
- エコキュートを設置するスペースが必要
エコキュートは導入費用が高い
エコキュート最大のデメリットと言えるのが、「導入費用の高さ」です。
エコキュートはその性能差によって、販売価格も様々ですが、各メーカー最上位機種の場合、メーカー希望小売価格は100万円を超えます。
メーカー名 | エコキュート型番 | メーカー希望小売価格(税込) |
---|---|---|
パナソニック | HE-JPU37LQS | 1,189,100円 |
日立 | BHP-FV37WD | 1,293,600円 |
三菱 | SRT-P376UB | 1,463,000円 |
ダイキン | EQX37XFV | 1,204,500円 |
コロナ | CHP-HXE37AZ1 | 1,292,500 円 |
なお、上記価格はあくまでも「メーカー希望小売価格」です。実際に販売される家電量販店やエコキュート専門業者で購入する場合には、エコキュートの導入費用はもっと安くなります。ただ、それでも最低でも40万円~60万円前後の導入費用が必要となってしまいます。
エコキュートは10年が寿命と言われており、10年間の月々の光熱費を考慮すれば、十分経済性の高い給湯機となります。しかし「エコキュートの導入費用を抑えたい」と考える方にとって、エコキュート導入費用の高さは、やはりデメリットになってしまいます。
エコキュートは専門業者で購入・交換したほうが断然安い。
なお、エコキュートの購入・交換をご検討の際は、メーカーや家電量販店で買うより、専門業者で購入する方が断然お得です。
メーカーや家電量販店は、設置工事を外注業者に依頼しますが、専門業者はメーカーから大量にエコキュートを納品し、さらに設置工事も自社100%で行うからです。
実際、当社「キンキュートー」では、本体+リモコン+脚部カバーに、工事費・撤去費・出張費まですべてコミコミで、以下販売価格でご提供しております。
メーカー名 | エコキュート型番 | 「キンキュートー」販売価格(税込) |
---|---|---|
パナソニック | HE-JPU37LQS | 634,280円 |
日立 | BHP-FV37WD | 421,145円 |
三菱 | SRT-P376UB | 472,955円 |
ダイキン | EQX37XFV | 408,000円 |
「できるだけ安くエコキュートを購入・交換したい」とお考えの方は、ぜひ「キンキュートー」までご相談ください。
エコキュートはガス給湯と比べ水圧が弱い
エコキュートの代表的なデメリットとして、導入費用以外に挙げられるものが、「水圧が弱い」というものです。
ガス給湯は、水道水の水を直接沸かす「直圧式」です。それに対しエコキュートは、沸かしたお湯を一旦貯湯タンクに貯め、そこから給湯する「減圧弁方式」となり、水道水の水圧をそのまま使うことができません。
そのため、エコキュートの水圧は、ガス給湯に比べ弱いのです。
例えば、エコキュートでシャワーを使用する場合、シャワーから出るお湯の勢いが、ガス給湯より弱くなります。実際、エコキュートを導入された方から「シャワーの水圧が弱い」という不満の声がよく聞かれます。
ただ、最近では各メーカーも、利用者の声に応えるべく、水圧性能の高い、高圧タイプのエコキュートを数多く販売しています。その代表格と言えるのが、日立の「水道直圧給湯」タイプのエコキュートです。
これは文字通り、水道水の水を瞬間的に沸かしながら直接給湯するエコキュートで、タンク内の水圧の影響を受けずパワフルに給湯ができる日立独自の技術となっています。
「給湯の水圧は高くないと不満」と感じる方は、高圧タイプのエコキュートを検討してみると良いでしょう。
エコキュートで沸かしたお湯は、基本的に飲料水として利用できない
一部機種を除き、各メーカーはエコキュートで沸かしたお湯を飲料水として飲むことを推奨していません。
それは、エコキュートが沸かしたお湯を、一度貯湯タンクに貯めるからです。
水道水は、塩素消毒をすることで飲料水として安全に飲める状態にしています。しかし水を沸かすと塩素成分が薄められてしまい、水道法で指定されている水質基準を満たさない可能性があるのです。
お湯は煮沸しており、タンク内のお湯も空気に触れることはないため、基本的に滅菌状態になります。それでも貯湯タンクは、長期間使用していると、タンク内に水垢や雑菌が溜まってしまう可能性があります。
定期的な清掃(水抜き)でタンク内の汚れを落とすことはできますし、お風呂や洗い物でお湯を利用する分には全く問題ありません。しかし「エコキュートで沸かしたお湯を直接飲む」ことは、ほとんどのメーカーが非推奨としています。
もちろん、蛇口から出てくる水をそのまま飲むことは可能です。あくまでも「エコキュートで沸かしたお湯は、基本的に飲めない」というだけですので、「給湯したお湯を直接飲む」という習慣のない方は、特に問題ないでしょう。
また最近では、沸かしたお湯を直接飲めるタイプのエコキュートも登場しています。ご希望の方はこちらのタイプを検討してみるとよいでしょう。
エコキュートを設置するスペースが必要
エコキュートを設置するには、ご自宅に「ヒートポンプ」と「貯湯タンク」が設置できるスペースが必要です。
サイズはエコキュートの機種によっても異なりますが、一例として、以下に各メーカーが販売している370リットル(3~5人家族向け)のヒートポンプ、貯湯タンクそれぞれのサイズをまとめました。
メーカー | 型番 | ヒートポンプ | 貯湯タンク |
---|---|---|---|
日立 | BHP-FV37WD | ・高さ720mm ・幅792(+117)mm ・奥行299(+62)mm |
・高さ1,771mm ・幅650mm ・奥行730mm |
ダイキン | EQX37XFV | ・高さ735mm ・幅825(+74)mm ・奥行き300mm |
・高さ1,825mm ・幅630mm ・奥行き730mm |
三菱 | SRT-P376UB | ・高さ715mm ・幅800(+65)mm ・奥行285(+16)mm |
・高さ1820mm ・幅630mm ・奥行き760mm |
パナソニック | HE-JPU37LQS | ・高さ672mm ・幅799(867)mm ・奥行 299(332)mm |
・高さ1810mm ・幅600mm ・奥行 680mm |
型番によってサイズが変わりますし、「薄型」や「コンパクトタイプ」といったエコキュートもありますが、基本的にヒートポンプは「高さ70cm前後・幅80cm前後・奥行30cm前後」、貯湯タンクは「高さ180cm前後、幅650cm前後、奥行750cm前後」となっています。
ご自宅に上記サイズのヒートポンプと貯湯タンクが置けるスペースがない場合には、エコキュートの導入が難しい可能性があります。
導入費用に問題がなければ、エコキュートは経済的で断然お得
エコキュートには、様々なメリットとデメリットがあります。
中でも「導入費用の高さ」は、エコキュート最大のデメリットと言えるでしょう。
それでも、月々の光熱費を含めてトータルコストを考慮すれば、エコキュートはガス給湯に比べて断然お得な給湯器です。
特に2024年なら、購入時に最大で13万円の補助金が国から交付されます。2024年は、補助金を活用してお得にエコキュートを導入できるチャンスとなっています。
導入費用を少しでも安く抑えたいなら、エコキュートの専門業者を
エコキュートの導入費用を少しでも抑えたいとお考えの方は、メーカーや家電量販店で購入するより、エコキュートの専門業者から購入するのがおすすめです。
エコキュートの専門業者は、正規メーカーから直接エコキュート本体を仕入れ、交換工事も100%自社で行っているため、外注業者からの中間マージンが一切かからないからです。
エコキュート専門業者である「キンキュートー」では、設置工事を自社で行うのはもちろん、専門店としてメーカーへ大量発注するため、仕入れ価格も大幅ダウン。こうしたコストカットにより、家電量販店では実現できないリーズナブルな価格を実現しています。
「古いエコキュートが壊れてしまった」「新しいエコキュートに交換したい」とお困りの方は、ぜひ当社「キンキュートー」までご相談ください。
見積もり無料、出張費・工事費・撤去費コミコミ価格で、補助金申請も代行。ぜひお気軽にお問い合わせください。