エコキュートの寿命は10年~15年まで!長持ちさせるコツと交換タイミングについて
「キンキュートー」には、エコキュートをご利用中のお客様から「エコキュートの寿命ってどれくらい?」「エコキュートの交換ってどのくらいのタイミングですればいいの?」といったお問い合わせが数多く寄せられています。
そこで今回は、「エコキュートの寿命」と「エコキュートの寿命を延ばすコツ」、そして「エコキュートの交換タイミング」について詳しく解説します。
この記事を監修したエコキュートの専門家
キンキュートー
日向 準(ひむかいじゅん)
給水装置工事主任技術者(第 267069 号)
第二種電気工事士(東京都 第 209331 号)
株式会社RSXの「キンキュートー」で、エコキュートの修理・交換工事を担当。ブログでエコキュートに関する様々な疑問とその解決方法を、国家資格を持ったプロとして詳しく解説。
エコキュートの寿命は10年~15年。メーカーも「10年で交換」を推奨
エコキュートの寿命(交換タイミング)は、一般的に10年~15年程度だと言われています。
もちろん、「20年使ってるけど問題ない」というケースも珍しくありませんし、10年経ったからといって、問題なく動いているエコキュートを無理に交換する必要もありません。
ただ、エコキュートを製造するメーカー自身、10年程度での交換を推奨しているのです。
エコキュートに限った話ではありませんが、経年劣化は避けられないので、長く使えばどうしても故障リスクが高くなります。10年以上経ったエコキュートは、「そろそろ寿命が近いかな?」と意識しておくとよいでしょう。
また、一口に「エコキュートの寿命」といっても、部位ごと(貯湯タンク・ヒートポンプユニット・リモコン)で寿命が微妙に異なる点にも注意が必要です。
ヒートポンプユニットの寿命は5年~15年
ヒートポンプユニットの寿命は5年~10年程度が目安。エコキュートの部位の中で、最も寿命が短くなる可能性が高くなっています。
大気中の熱をエネルギーに変える「空気熱交換器」が搭載されたヒートポンプユニットには、電子回路部品が組み込まれており、ここが最も壊れやすくなっているのです。
もちろん「5年経ったらもう壊れる」などということではなく、中には20年近く経っても問題なく動作するという例も少なくありません。
ただ、ヒートポンプユニットはエコキュートの中で最も故障しやすい部位であることは間違いなく、平均的な寿命ということになると、やはり5年~10年程度となります。
エコキュート 貯湯タンク(缶体)の寿命は10年~15年
作ったお湯を貯める「貯湯タンク」の寿命は、10年~15年程度です。エコキュートの各部位の中で最も長く持つ部位となっています。
ただ、貯湯タンクも各種配管口が損傷すると、水漏れの原因となる可能性があります。エコキュートの中でも、貯湯タンクはご自身でメンテナンスがしやすい部位になるので、定期的なお手入れは忘れないようにしておきましょう。
エコキュート リモコンの寿命は5年~15年
エコキュートの故障で意外と多い部位がリモコンで、寿命は約5年~15年程度です。
エコキュートはキッチンやお風呂場に設置したリモコンのボタンを押して、給湯温度の変更や風呂張りなどの操作を行うため、使い方によってリモコンの基盤が壊れたり、一部のボタンが反応しなくなったりしてしまいます。
またお手入れの際に、アルコールやシンナーなどを使って拭いたり、直接水をかけたりするのも故障の原因となります。
エコキュートの寿命を延ばすメンテナンス方法
- 浴槽アダプター(フィルター)の掃除
- リモコンの掃除
- ふろ配管の掃除
- 貯湯タンクの掃除
- 漏電遮断機の点検
- 逃し弁の点検
- 配管の水漏れ点検
エコキュートの寿命を少しでも延ばすには、やはり日々のお手入れが大切です。
メーカーによってエコキュートの細かな構造は異なりますが、共通するメンテナンス方法は大きく「掃除」と「動作確認・点検」の2つに分かれます。
※型式ごとのメンテナンス方法は、メーカーマニュアルをご参照ください。
浴槽アダプターとリモコンの掃除
エコキュートのメンテナスでもっとも頻繁に行うべきは、「浴槽アダプター(フィルター)の掃除」です。
お風呂の追い炊き口(循環口)についた浴槽アダプターは、目詰まりすると、追いだきをしてもお湯が熱くならず、エコキュートの機能低下、および故障の原因になりやすいからです。
週1回くらいを目安に、浴槽アダプターを取り外して洗浄剤を使って水洗いし、ブラシなどでフィルターの網目についた細かな汚れを取り除きましょう。
またリモコンの掃除はからぶきか水ぶきが基本。汚れがひどい場合は薄めた台所用(中性)洗剤を布に含ませ、軽くふいてください。直接水をかけたり、ベンジン、シンナーなどの溶剤を使ったりすると故障の原因になるのでやめましょう。
ふろ配管の掃除
ふろ配管の掃除も欠かさずに行いましょう。ふろ配管内に残っているお湯をきちんと洗い流すことが、エコキュートを清潔に保ち、寿命を長持ちさせるコツです。
最近のエコキュートには、「自動洗浄モード」や「手動洗浄モード」など、リモコンでふろ配管掃除ができるものが一般的なので、お手入れは簡単にできます。
また半年に一回程度は専用の洗浄剤を使った掃除もしましょう。
貯湯タンクの掃除
貯湯タンクの掃除は、年に2~3回程度で問題ありませんが、しかしとても重要です。
貯湯タンクの掃除方法は「水抜き」です。タンク内の水を抜くことで、タンク内の汚れや不純物を洗い流すのです。
水抜きをするには、まず「漏電遮断機」をOFFにします。そのあとに「給水元栓」を閉じ、「逃がし弁」のレバーを開放します。この状態で、最後に「排水栓」を開き、2分以上そのままの状態で水抜きしてください。
水抜きが終わったら、排水栓を閉じて給水元栓を開き、タンク内を満水にします。それから逃し弁を閉じ、漏電遮断機をONにしてください。
またタンクにはタンク内にゴミが入るのを防ぐ「給水ストレイナー」が付いています。メーカーによっては取り外し可能なものもあるので、その場合は取り外ししてブラシ掃除などをしておきましょう。
漏電遮断機、逃し弁、配管の点検
掃除以外のエコキュートメンテナンス方法は、「漏電遮断機」「逃し弁」「配管」の点検になります。いずれも年に2~3回程度の点検で問題ないので、水抜きの時と一緒に行うのがおすすめです。
漏電遮断器は、その名の通り「漏電時に電気を遮断する機器」であり、エコキュートを安全に使用するうえでとても重要なものです。その動作確認は「テストボタン」を押して行います。
テストボタンは漏電遮断器の蓋を開けると、ON/OFFのスイッチの近くにあります。テストボタンを押して、ONの状態だったスイッチがOFFに切り替われば、正常動作です。
逃し弁の点検は、レバーを上げた時に貯湯タンクの水が排水口から出ること、そしてレバーを戻したときに流水が止まることを確認します。エコキュートが沸き上げ状態になっている場合は、逃し弁の点検は行わないよう注意してください。
最後に配管の点検は、水漏れが起きていないか目視で確認します。また凍結防止用の保温材が破損していないかも確認しておきましょう。
エコキュートの寿命を延ばすメーカーの有償点検
エコキュートの掃除や点検は、ご自身でもできる簡単なものとなります。とはいえ、「素人が点検して本当に大丈夫?」と不安に感じる方も少なくないでしょう。
そんな方のため、エコキュートの保証とは別に、メーカーでは有償の点検サービスも行っています。
もし漏電遮断器や逃し弁の点検などに不安を感じるようであれば、メーカーの有償点検を利用するのも、エコキュートの寿命を延ばすいい方法になるかもしれません。
エコキュートの寿命を縮める原因
- 日々のメンテナンスを怠る
- 温泉水、地下水、井戸水、硬水を使用する
- ヒートポンプの吸込口・吹出口付近にモノを置く
- 長期間使用しないときに電源を切らず、水抜きもしない
エコキュートの寿命は10年~15年程度だとされていますが、使い方によってはそれよりも短い期間で故障する可能性があります。
特に「メンテナンス不足」「水質」「ヒートポンプの設置場所」「水抜きをしない」という4点は、エコキュートの寿命を縮める代表的な原因です。
お手入れ不足がエコキュートの寿命を縮める
エコキュートのメンテナンスは、「エコキュートの寿命を延ばすコツ」としてもご紹介しましたが、当然メンテナンスを怠れば、エコキュートの寿命を縮める原因になってしまいます。
日々の掃除、そして年に2~3回程度の動作確認は、エコキュートのマニュアルにも記載されているとても重要なものです。高額なエコキュートの寿命を長持ちさせるためにも、メンテナスは欠かさず行うようにしましょう。
水質がエコキュートの寿命を縮める
エコキュートの寿命を縮める原因として、意外と知られていないのが「水質」です。
実は、エコキュートは「水道水の利用」を推奨しており、温泉水、地下水、井戸水、硬水を使用しているご家庭の場合、メーカーの無償保証対象外となってしまう可能性があるのです。
また水道水を使用している場合でも、お風呂で入浴剤を使ってしまうと、エコキュートの故障原因となる可能性があります。
最近のエコキュートは入浴剤にも対応しているものもありますが、それでも「使用できる入浴剤」と「使用できない入浴剤」があるので、事前にしっかりと確認しておく必要があります。
ヒートポンプの設置環境がエコキュートの寿命を縮める
エコキュートは屋外設置が基本のため、それなりに頑丈な造りにはなっています。しかしヒートポンプの設置場所によっては、寿命を縮める恐れがあります。
例えばヒートポンプの周辺にモノを置いてしまうと、ヒートポンプについている吸込口や吹出口を塞いでしまう可能性があります。吹出口や吸込口が塞がると、エコキュートの能力低下はもちろん、故障の原因にもなってしまいます。
ヒートポンプユニットの設置場所は十分なスペースを確保して、周りには障害物を置かないようにしましょう。
「水抜き」しないとエコキュートの寿命を縮める
例えば長期出張などで、エコキュートを長期間使用しない場合、エコキュートの電源を切っておくことはもちろん、水抜きもしておく必要があります。
水抜きをしておかないと、タンク内が清潔に保てないことはもちろん、配管が凍結するリスクが高まり、エコキュートの寿命を縮める原因となってしまいます。
エコキュートの寿命(交換時期)で最も多いタイミングは15年程度
「キンキュートー」にお問い合わせいただいたお客様の、エコキュート稼働期間を見ると、15年程度でエコキュートを交換する方が多くなっています。
もちろん「10年未満で故障してメーカー保証も利かない」というお客様や、「20年近く使っていたけどついに壊れた」というお客様もいらっしゃいます。
設置状況や使用条件なども一人ひとりで異なるため一概には言えませんが、やはり15年程度経つとエコキュートの寿命を迎えることが多いようです。
メーカー保証期間はエコキュートの寿命以下
エコキュートの寿命は10年~15年程度ですが、一方でメーカーのエコキュート保証期間は1~5年程度となっています。
また部位ごとに保証期間が異なる点にも注意が必要です。主要メーカーは貯湯タンク(缶体のみ)の保証期間を5年、ヒートポンプユニットの保証期間は3年程度としています。
メーカー | 本体 ※ヒートポンプ、貯湯タンク(缶体)を除くすべて |
ヒートポンプ ※冷媒系 |
貯湯タンク ※缶体 |
---|---|---|---|
日立 | 1年 | 3年 | 5年 |
パナソニック | 1年 | 3年 | 5年 |
三菱 | 2年 | 3年 | 5年 |
東芝 | 5年 | 5年 ※消耗部品は2年 |
5年 ※消耗部品は2年 |
ダイキン | 1年 | 3年 | 5年 |
コロナ | 2年 | 3年 | 5年 |
メーカーによっては、有償の長期保証や、メーカー指定の施工会社による長期保証制度なども用意している場合もあります。しかし、基本「エコキュートのメーカー保証は1年~5年程度」という認識で間違いありません。
「キンキュートー」は10年間の無料保証
エコキュートの交換工事を承る「キンキュートー」では、メーカー保証とは別に無料の10年保証をお付けしております。
工事時のトラブルはもちろん、工事後に発生する全メーカーのエコキュートトラブルもすべて無料で対応いたします。
新しいエコキュートに交換後も、長く安心して使い続けたいとお考えの方は、ぜひ「キンキュートー」までご相談ください。
エコキュートを10年~15年使用したら、寿命と判断して交換すべき?
寿命の目安となる10年~15年ほどエコキュートを使用したからといって、「すぐにエコキュートを交換すべき」とは、一概には言えません。
繰り返しになりますが、エコキュートを20年近く使っていても問題なく稼働している方も多くいらっしゃるからです。
ただ、エコキュートの使用期間が10年~15年を超えると、交換時期の目安となることは間違いありません。特に古いエコキュートの場合、修理しようとしても、すでに修理用部品の在庫がメーカーにない可能性があるからです。
メーカーの補修用性能部品の保有期間は約10年
家電メーカーには、自社製品が故障した際に修理ができるよう、修理用部品を持っていなければならない期間、「補修用性能部品の保有期間」が義務付けられています。
この「補修用性能部品の保有期間」は、「その商品が製造終了したタイミング」が基点で、エコキュートの場合最低8年となっていますが、各メーカー10年程度としているところが多いです。
メーカー | エコキュート 補修用性能部品 保有期間 |
---|---|
日立 | 10年(※1) |
三菱 | 10年 |
パナソニック | 10年(※2) |
コロナ | 10年 |
ダイキン | 10年 |
※2. 2017年11月26日以降の新商品および継続発売商品。これ以前は9年間。
つまり、製造終了しているエコキュートの場合、そこから10年以上たっていると、すでにメーカーも修理用部品を持っていない可能性があるのです。
エコキュートは毎年のように最新モデルが発売される一方で、古いモデルは製造終了しているものが多くなっています。
特に10年前のエコキュートとなると、省エネ性能が低いものが多いため、すでに製造終了しているものも少なくありません。
そのため「交換ではなく修理して使い続けよう」と思っても、すでに修理対応ができず、結局交換せざるを得ない場合があるのです。
こうしたことから、メーカーも「エコキュートの交換タイミングは10年程度」と明言しているのです。
エコキュートの寿命が来たと判断する前兆
- お湯が出ない
- お湯の温度が安定しない
- 追い焚きしても温かくならない
- リモコンにエラーコードが頻繁に出る
使用期間にかかわらず、「エコキュートの寿命が来た」と判断できる前兆としては、「お湯が出ない」「お湯の温度が安定しない」「追い焚きしても温かくならない」「エラーコードが頻繫に出る」といった症状が上げられます。
これらの症状が定期的に出るようになった場合、残念ながらそのエコキュートの寿命は近づいている可能性があります。
エコキュートの寿命が来たときは、メーカーと業者どちらに依頼をすればいい?
メーカーの保証期間内であれば、エコキュートの寿命が来た場合はメーカーに修理を依頼したほうがお安く済むでしょう。
しかし、修理ではなく交換を依頼する場合は、メーカーよりも専門業者に依頼したほうが、交換費用もその後のコストパフォーマンスも、お得になる可能性があります。
例えば古いエコキュートの場合、修理したとしても省エネ性能が低く、最新モデルのエコキュートと比べコストパフォーマンスに劣ります。
それにメーカーの保証期間外となってしまう場合、修理費用は部品交換で数万円~8万円程度、ヒートポンプユニットの修理となれば10万円~15万円近く必要となってしまいます。
それであれば、省エネ性能の高いエコキュートに交換したほうが結果的にお得になる可能性が高いのです。
特に専門業者の場合、工事費込みのエコキュート本体価格が家電量販店よりも数十万単位で安いことも珍しくありません。実際、「キンキュートー」では、日立の2023年モデル「BHP-F37WU」(370リットル)が、交換工事費込みで398,000円となっています。
メーカーと専門業者、どちらに依頼すべきかは一概に言えませんが、もしも「できるだけ安く、最新モデルのエコキュートに交換したい」とお考えであれば、専門業者への依頼をお勧めいたします。